「今決めた方がいい。」
「この機会は今しかない。」
「迷っている間に、他の人に先を越される。」
そんな言葉を聞くと、
なぜか心が落ち着かなくなる。
普段なら、
「少し考えてから決めよう。」
と思えることでも、
急かされると、
「早く決めなければ。」
という気持ちになる。
今振り返ると、
私自身もそうだった。
決断には時間が必要だった
当時、
何かを決めるときに、
「迷っている時間はもったいない。」
という空気があった。
行動する人は、
すぐに決断する。
成功する人は、
チャンスを逃さない。
そんな言葉を聞いているうちに、
考えることよりも、
決めることの方が大切だと思うようになった。
でも、
今なら少し違うと思う。
決断が早いことと、
正しい決断をすることは、
同じではない。
「今だけ」は、判断を変える
人は、
「いつでも買えるもの」と、
「今しか手に入らないもの」では、
感じ方が変わる。
たとえ、
中身が同じだったとしても。
残りわずか。
期間限定。
今回だけ。
そう言われると、
本当に必要なのかを考える前に、
「なくなる前に決めなければ。」
という気持ちが生まれる。
失いたくない。
後悔したくない。
その感情が、
判断を急がせる。
冷静さを奪うのは、情報不足だけではない
何かを間違える原因は、
情報が足りないからだと思っていた。
しかし、
情報があっても、
冷静に判断できないことがある。
時間がない。
誰かに急かされている。
周りが決めている。
期待されている。
そんな状況では、
考えるための余白そのものがなくなっていく。
人は、
考えられないのではなく、
考える時間を奪われることで、
判断を急いでしまうことがある。
「考える」は、逃げではない
以前の私は、
迷うことを弱さだと思っていた。
決められない。
行動できない。
覚悟がない。
そんなふうに考えていた。
でも、
今は違う。
迷うということは、
それだけ真剣に考えているということでもある。
もちろん、
いつまでも決めないことが正しいわけではない。
それでも、
重要なことほど、
一度立ち止まる時間は必要だと思う。
一晩置いてみる
今の私は、
大きな決断をするときほど、
すぐには答えを出さないようにしている。
一晩置く。
誰かに話してみる。
一人で考えてみる。
翌日になっても、
同じ気持ちなら、
そのとき改めて決める。
たったそれだけのことでも、
見えるものが変わることがある。
その瞬間は、
ものすごく魅力的に見えていたものが、
翌日には、
「本当に必要だったのだろうか。」
と思えることもある。
焦って決めたことは、本当に自分の意思なのか
ここで、
一つ考えるようになった。
もし、
「今すぐ決めてください。」
と言われなければ、
私は同じ決断をしていただろうか。
もし、
誰にも急かされなければ、
同じ答えを出していただろうか。
もし、
一人で考える時間があったとしても、
それでも選んでいただろうか。
そう考えると、
自分の意思だと思っていたものの中に、
周囲から与えられた焦りが、
混ざっていたことに気づく。
急がせることが、必ず悪いわけではない
もちろん、
すべての「今決めてください」が、
悪いわけではない。
本当に期限があることもある。
チャンスを逃したくない場面もある。
人生には、
決断しなければならない瞬間もある。
だから、
「急いで決める=間違い」
ではない。
大切なのは、
なぜ急いでいるのかを、
自分自身が理解していることなのだと思う。
自分の時間を取り戻す
MLMを経験してから、
私は、
「すぐに決めないこと」を、
以前より大切にするようになった。
それは、
何でも疑うようになったということではない。
むしろ、
自分の判断に、
自分で時間を与えるようになったということだ。
誰かに与えられた期限ではなく、
自分が納得できるまで考える。
その時間を、
もう誰かに奪われたくないと思っている。
次章への気づき
人は、
急かされると、
判断を早くする。
そして、
一度決めてしまうと、
今度はその決断を、
正しいものだと思いたくなる。
だから、
人は時に、
自分が選んだものを守るために、
現実の見方まで変えてしまう。
なぜ人は、
「自分は間違っていなかった」と思いたくなるのか。
次章では、
「自分の選択を正当化する心」について、
もう少し考えてみたい。
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