第二十五章:なぜ人は、自分に都合のいい情報ばかり集めてしまうのか

一度、

「これが正しい。」

と思ってしまうと、

人は不思議なくらい、

その考えを守ろうとする。

良い情報が見つかれば、

「やっぱり間違っていなかった。」

と思う。

反対の情報を見つけても、

「これは例外だ。」

「この人には合わなかっただけだ。」

そう考える。

今振り返ると、

私にもそんなところがあった。

信じたいものを探していた

MLMを始めた頃、

私は成功した人の話をよく聞いていた。

「この人は成功している。」

「この人も人生が変わったと言っている。」

「自分も頑張れば変われるかもしれない。」

そんな話を聞くたびに、

期待は大きくなっていった。

一方で、

うまくいかなかった人の話を聞いたときは、

どこか距離を置いていた。

「努力が足りなかったのではないか。」

「やり方が悪かったのではないか。」

そんな理由を考えていた。

今思えば、

私は情報を公平に見ていたわけではなかった。

同じ情報でも、受け取り方が変わる

人は、

自分が信じているものに合う情報を見つけると、

それを強く受け止める。

反対の情報には、

疑いの目を向ける。

同じ出来事でも、

自分の考えに合っているかどうかで、

意味が変わってしまう。

だから、

「情報を集めて判断する。」

というのは、

思っているほど簡単ではない。

人は、

情報を集めてから考えるのではなく、

先に考えを持って、

その考えに合う情報を探してしまうことがある。

確証バイアス

心理学では、

自分の考えや信念を支持する情報を、

優先的に集めたり、

反対する情報を軽視したりする傾向を、

「確証バイアス」と呼ぶ。

言葉だけを見ると、

どこか特別な人間の心理に思える。

しかし、

決して珍しいものではない。

政治でも、

仕事でも、

恋愛でも、

SNSでも、

誰にでも起こり得る。

もちろん、

私にも起こる。

「自分だけは大丈夫」という思い

今でも、

自分が何かを決めるとき、

気をつけるようにしていることがある。

それは、

「自分だけは冷静に判断できる。」

と思わないことだ。

MLMに関わっていた頃の私は、

自分が騙されているとは思っていなかった。

むしろ、

自分なりに考えていたつもりだった。

だからこそ、

後から振り返ると怖くなる。

人は、

自分が間違っているときでさえ、

「自分はちゃんと考えている。」

と思うことができる。

反対意見を聞くこと

だから、

何かを信じ始めたときほど、

反対の意見を見ることが大切なのだと思う。

「この考えが間違っているとしたら?」

そう考えてみる。

自分と違う意見を、

すぐに否定しない。

むしろ、

一度受け止めてみる。

それで考えが変わらなければ、

それでもいい。

大切なのは、

変えないことではなく、

変える可能性を残しておくことなのかもしれない。

疑うことと、否定することは違う

以前の私は、

疑うことを、

相手を否定することだと思っていた。

でも、

今は違う。

疑うということは、

「あなたは間違っている。」

と言うことではない。

「本当にそうなのだろうか。」

と、

一度立ち止まることだ。

そして、

それは相手のためでもあり、

自分を守るためでもある。

あの頃の自分を責めすぎないために

ここまで振り返ると、

「なぜもっと早く気づかなかったのか。」

と思うこともある。

けれど、

当時の自分は、

当時持っていた情報と、

当時の感情の中で判断していた。

だから、

今の自分が、

過去の自分を簡単に責めることもできない。

むしろ、

あの経験があったからこそ、

今の自分は、

「自分も間違える。」

ということを知っている。

それは、

少し皮肉なことなのかもしれない。

正しさよりも、間違える可能性を知る

今でも、

自分の考えが正しいと思うことはある。

それ自体は悪いことではない。

ただ、

「自分が間違っている可能性もある。」

という余白だけは、

残しておきたい。

人は、

自信があるときほど、

間違いに気づきにくい。

だから、

自信をなくす必要はない。

ただ、

自分の判断を、

絶対的なものにしない。

それだけで、

見えるものは少し変わるのだと思う。

次章への気づき

人は、

自分の考えを守ろうとする。

そして、

自分の選択を正しいものだと思いたくなる。

そのためなら、

都合の悪い情報を見ないこともある。

しかし、

もう一つ、

人の判断を大きく左右するものがある。

それは、

「今すぐ決めなければならない。」

という感覚だ。

時間がない。

残りわずか。

今だけ。

そんな言葉を聞くと、

普段なら慎重な人でさえ、

焦ってしまうことがある。

なぜ人は、

「急がされる」と冷静な判断ができなくなるのか。

次章では、

「焦りと決断」について考えてみたい。

▼続きはこちら

第二十六章:なぜ人は、急かされると冷静に考えられなくなるのか

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