第九章:なぜ私は何度も「それっぽい話」に惹かれたのか


はじめに

これまでの章で、いくつかのコミュニティやビジネスの話を書いてきた。

振り返ってみると、内容は違っても空気感はどこか似ていた。
最初は偶然だと思っていた。

しかし今ならわかる。
あれは偶然ではなく、自分の状態がそういう環境を引き寄せていたのだった。


社会人になったばかりの焦り

社会人になり、周囲と自分を比べる機会が一気に増えた。

仕事に慣れない日々。
将来の見通しも立たない。
学生時代のような「正解」がなくなった。

SNSを開けば、

  • 起業した人
  • 投資で成功した人
  • 自由に生きているように見える人

そんな情報ばかりが目に入った。

「このままでいいのか」

その感情が、ずっと心のどこかにあった。


共通していた言葉

出会った人たちが口を揃えて言っていた言葉がある。

  • 普通の人生で満足なの?
  • 行動した人だけが成功する
  • 今が人生を変えるチャンス

当時の自分には、それが正論に聞こえた。

否定する理由もなかったし、
むしろ「自分が動いていないだけなのでは」と思わされていた。

今思えば、言葉自体が問題だったわけではない。
その言葉を疑わず受け入れてしまった自分の状態が問題だった。


惹かれた理由は「ビジネス」ではなかった

後から気づいたことがある。

自分が惹かれていたのは、
ビジネスモデルでも収益でもなかった。

  • 認められる場所
  • 仲間がいる感覚
  • 自分が変われそうな期待

つまり、環境だった。

正しい場所を探していたつもりが、
「居場所」を探していただけだった。


当時の自分に足りなかったもの

今ならはっきり言える。

当時の自分に足りなかったのは能力ではなかった。

足りなかったのは、

  • 判断基準
  • 長期的な視点
  • 違和感を言語化する力

だった。

「すごそう」に見えるものを、
そのまま信じてしまっていた。


なぜ人は飲み込まれるのか

こうした界隈に入る人は、決して特別な人ではない。

むしろ真面目で、何かを変えようとしている人ほど入りやすい。

現状を変えたい。
成長したい。
成功したい。

その気持ちは本物だ。

だからこそ、
正しい努力と、利用される努力の境界線が見えなくなる

飲み込まれる理由は、弱さではなく「前向きさ」だったのだと思う。


今だから言えること

環境を変えること自体は間違いではない。

意識の高い場所に身を置くことも必要だと思う。
転職だって同じだ。

ただし、
環境は選ばなければならない。

違和感を否定し続ける場所ではなく、
違和感を話せる場所を選ぶべきだった。


次へ

これまでの経験を通して、ようやく気づいたことがある。

人生を変えるのは、
特別なコミュニティでも、魔法のビジネスでもなかった。

自分で考える力を取り戻すことだった。

ここから、自分の選択は少しずつ変わっていくことになる。


この記事の一行まとめ

人が怪しい話に惹かれるのは弱さではなく、「変わりたい」という真剣さだった。

▼続きはこちら

第十章:なぜ人は楽な稼ぎ方、MLM(マルチ商法)に飲み込まれてしまうのか

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