MLMを振り返る中で、
何度も考えたことがある。
「あの人を信じなければよかった。」
そう思ったこともあった。
だが、
時間が経つにつれ、
少し違う考えを持つようになった。
私は、
「あの人」を信じたのではない。
“信じたい未来”を信じていたのかもしれない。
信頼は、一瞬では生まれない
人は、
知らない人の話を簡単には信じない。
だから、
勧誘も、
営業も、
詐欺も、
まず売ろうとはしない。
先に、
人との距離を縮めようとする。
食事に行く。
悩みを聞く。
共通点を見つける。
応援してくれる。
気づけば、
商品ではなく、
「この人なら大丈夫。」
を信じるようになっている。
嘘だけでは、人は動かない
以前は、
「騙された。」
という言葉で片付けようとしていた。
しかし、
今はそう思っていない。
あの時、
相手が話していたことの中には、
本当のこともあった。
努力は必要だということ。
行動しなければ何も変わらないということ。
環境は人を変えるということ。
だからこそ、
信じられた。
もし、
すべてが嘘だったなら、
私は最初から疑っていただろう。
本当と希望が混ざることで、
人は判断を難しくする。
信じることは、悪いことではない
私は、
信じること自体が悪いとは思わない。
誰かを信じる。
仲間を信じる。
家族を信じる。
それがなければ、
人は生きていけない。
問題なのは、
信じたことではなく、
疑う余白を失ってしまうことだった。
「考えすぎだよ。」
「成功する人は決断が早い。」
「迷うのは本気じゃないからだ。」
そんな言葉を何度も聞くうちに、
私は、
立ち止まることに罪悪感を覚えていた。
今思えば、
一番失っていたのは、
お金ではなかった。
自分で考える時間だったのかもしれない。
信頼とは、疑わないことではない
以前の私は、
信頼とは、
相手を疑わないことだと思っていた。
しかし今は違う。
本当の信頼とは、
疑問を持てなくなる関係ではなく、
疑問を口にしても壊れない関係なのだと思う。
質問をすれば責められる。
不安を話せば意識が低いと言われる。
もし、
そんな関係なら、
それは信頼ではなく、
同調を求められているだけなのかもしれない。
あの日の自分へ
もし、
あの頃の自分に一つだけ言葉を掛けられるなら、
「信じるな。」
とは言わない。
それでは、
人を信じること自体が怖くなってしまう。
私が伝えたいのは、
「信じる前に、一人で考える時間を持ってほしい。」
ということだ。
急がせる人ほど、
少し距離を置いてみる。
決断を急ぐ言葉ほど、
一晩寝かせてみる。
それだけでも、
見える景色は変わることがある。
次章への気づき
人は、
誰かを信じることで前へ進むことができる。
しかし、
もう一つ人を動かす感情がある。
それは、
「みんながやっている」という安心感だ。
なぜ人は、
多数派に安心し、
少数派であることを恐れるのか。
次章では、
「同調」という感情について書いてみたいと思う。
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