第二章:参加して見えた“現実”と違和感(前編)― 講演会、教材、そしてビジネスの正体 ―

※本記事は、あくまで筆者個人の体験と主観に基づく記録です。
特定の団体や人物を誹謗中傷する意図はなく、同様の被害や後悔を防ぐための情報共有を目的としています。

ブログを書かなくなってから、約1年が経っていた。 結局、自分は何も変えられていない。そう感じる一方で、何か行動しなければいけないという、少し矛盾した感情を抱えていた。

当時、Twitter(現X)ではビジネス系のアカウントを作り、いわゆる意識高い言葉を投稿していた。投稿するたびに一時的な高揚感はあったが、同時に「自分は何も成し遂げていない」という悲壮感も強くなっていった。

そんな中、ある日DMが届いた。

「投稿を見て共感しました。よかったら一度お話ししませんか?」

今思えば、典型的な勧誘の入り口だったと思う。しかし当時の私は、「何かしないといけない」「学ぶためにはまず会うことが必要だ」という気持ちに支配されていた。冷静な判断ができていれば、この先の出来事は防げたのかもしれない。

私は深く考えることなく、LINEを登録し、実際に会う約束をした。

指定された場所は、池袋駅周辺の喫茶店だった。私は群馬に住んでいたため、そこまで約2時間の移動が必要だった。今になって調べると、その周辺は当時から勧誘目的の面談が多く行われていた場所だったらしい。

店内で待っていたのは、DMを送ってきた本人だった。年齢は私より若く、どこか垢抜けきれない、いわゆる意識高い系という印象を受けた。

最初はお互いの簡単な自己紹介から始まった。「何をしているのか」「将来どうなりたいのか」といった、表面的にはごく普通の会話だった。

しばらくすると、彼はこう言った。

「実は、僕を導いてくれた人がいて…その人が、僕のメンターなんです」

その直後、まるでタイミングを見計らっていたかのように、もう一人の人物が席に加わった。彼が“師匠”と呼ばれる人物だった。

師匠が話し始めた瞬間、場の空気は一変した。会話の主導権は完全に師匠に移り、DMのやり取りをしていた彼は、ほとんど話さなくなった。

代わりに、師匠の言葉一つひとつに大きく頷き始めた。

そうなんですよね。 その通りです。

今振り返ると、その姿はまるで“頷きマシン”だったと思う。

師匠が話し、彼が頷く。その繰り返しによって、師匠の言葉は疑いようのない正解として、その場に積み重なっていった。

話の内容は、「成功する人の考え方」や「環境の重要性」といったものが中心だった。そして必ず出てきたのが、「決断」に関する話だった。

「成功する人は、決断が早い」 「迷っている時間が、一番のリスクになる」 「ここで決められない人は、結局、何も変えられない」

その言葉が投げかけられるたびに、横では頷きマシンが静かに稼働し続けていた。

私は次第に、「ここで迷う自分は間違っているのではないか」と思い込まされていった。冷静に考える余裕は、すでにほとんど残っていなかった。

このとき、すでに“決断”を迫られる空気は出来上がっていたのだと思う。

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